そして今年も始まり

穏やかなお正月だった。
毎日よく晴れて南向きの私の部屋は暖かく、今日なんか一月だというのに日中は暖房も要らなかった。
たった1週間休んだだけなのに、もっと長いこと休んでいたような気がする。
帰省したり母親の実家に行ったりと、あちこち出かけていたからだろうか。

腰を悪くして杖を頼りに歩く母親を連れて、閑散とした水海道の駅前でタクシーに乗り込み、田舎の家に向かう。
水海道にある母親の実家に行ったのは、かれこれ6年前のことだった。
あの日もよく晴れていて、鬼怒川にかかる豊水橋からはくっきりと筑波山が見えたし、鬼怒川沿いの土手からははるかに日光の山も見渡せた。
今年も空はよく晴れて、毎月お稽古に通う八潮の駅からではマンション群の隙間にほんのぽっちりと望めるだけの筑波山が、目の前に迫るように、大きく山裾を拡げている。
懐かしい景色に、いつまでも目が離せなかった。

6年ぶりで訪れた家の門口で出迎えてくれた親戚たちの姿に、挨拶より先に涙が出た。
すっかり白くなった髪。
腰も曲がって、自分よりだいぶ小さくなってしまった。
家の主人である伯父は入院中で、うちの母も杖がなくては歩けない。
放蕩息子の帰還。
脈絡もなく、そんな言葉が頭に浮かんだ。
私たちに与えられている時間は有限なのだということを、実感する。

新しい年に、なにを願おう。
自分と、自分を取り巻くすべての人に幸せを。
自分自身のことを言えば、それは
「気負わず、希望を失わず」
まだやりたいことがある。
自分の残り時間はわからない。
わからないからこそ、ちょっと挑戦してみてもよいのではないか。年齢がどうとか、気にしなくてもよいのではないか。
過剰に期待せず、過剰に浮き立たず、けれど希望の灯りは決して消さないで。

おまけ:お正月の一首
暖かき光の満ちて思わずと 
柏手を打つ元日の部屋

陽は中天を過ぎて 2nd season

第二人生。 ここから歩いていこう、 鮮やかな夕映えのなかを。 大丈夫、自分はまだ生きている。

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