夕空の虹

オフィスを出るとアスファルトが濡れていて、向かいのビルのガラス窓は、濃い灰色の雲が千切れた間から差し込んでくる真夏の夕暮れのような日差しで橙色に染まっていた。
昼過ぎから身体が重かったのは、さてはこの雨のせいだったのか。
会社の中にいると天気の変化に疎くなる。外に出てはじめて、雨が降ったことやら、風が強いことやらに気づく。
それにしても湿気が身体に溜まって、なんだかやけに動きにくい。信号が点滅しだしたのを幸い、足を止めた。身軽に交差点を走って渡っていく人たちを、少しばかり羨ましい思いで眺めて、ふと空を見上げた。
虹だ。
うっすらと。

いいことがある、かもしれない。
思いがけない贈り物をもらった気分。

陽は中天を過ぎて 2nd season

第二人生。 ここから歩いていこう、 鮮やかな夕映えのなかを。 大丈夫、自分はまだ生きている。

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