江戸城本丸跡

お稽古が午前中で終わったのですこし寄り道をして、皇居三の丸の尚蔵館で開催中の「書の美、文字の巧」展を見に行ってみた。
こじんまりとした展示ながら、入館者でいっぱいだったのには驚いた。尚蔵館が大手門を入ってすぐのところにあるせいなのか、筆で書かれた文字が日本人の琴線に触れるせいなのか。

展示のなかでいちばん好きだと思ったのは後柏原天皇の書。厚みのある文字が威厳を感じさせて、惹きつけられる。関白秀次の文字も伸びやかで素敵だし、剣豪将軍・足利義輝の文字も勢いがあって格好いい。
残念なことに、なんと書いてあるのか私にはさっぱり分からない。けれども文字の形を見るだけでも面白くて、小さな展示室をしばらくうろうろしたあげく、図録を購入。展覧会の図録なんて重たくて場所を取るばかりなので敬遠していたのだけれど、今日は我慢できなかった。

展示を見終えてもまだまだ時間があったので、本丸跡まで行ってみることにした。
本丸跡は芝生が広がるだけのがらんとだだっ広い公園でしかなく、200年前にはここに将軍の住まう江戸城があり殿舎がひしめきあっていたなどということを想像するのはとても難しい。
初めて来た時は、あまりのなにもなさかげんに城好きの自分でさえがっかりした。まして、本丸に溢れかえるようになった外国人観光客たちはどう思っているだろう。
たとえば、江戸時代の建物の見取り図や復元絵図を看板にして所々に掲示しておくとか、覗くと江戸時代の建物が浮かび上がって見える望遠鏡みたいなものを置いてみるとか、なにか工夫はできないものなんだろうか… そんなものがあったら面白いと思うのに。天守閣だって、土台だけじゃなにがなんだかわからないよ。本当はどんな建物がこの上にあったんだろう?

それはさておき、どこへ行ってもビルに囲まれた東京都心でこんなに空が広い場所は他になく、見上げる視線の先には空と大樹の梢だけというのは気持ちがいい。芝生に寝っ転がっている人たちがちょっと羨ましい。自分もなにか敷物を持って来ればよかった。せめてスカートじゃなければごろりとしてこの空を満喫できたのにな。惜しいことをした。

陽は中天を過ぎて 2nd season

第二人生。 ここから歩いていこう、 鮮やかな夕映えのなかを。 大丈夫、自分はまだ生きている。

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