記憶リンク

「燃焼のための習作」堀江敏幸

延々と続く世間話。
話をしているのは3人。探偵事務所の主とその助手と依頼に来た人と。激しい雷雨のせいで依頼人は足止めを食らい、それで話が依頼のことから逸れて、延々、ほんとうに延々と話が転がっていく。
記憶が記憶を呼んで彼らの話題は次々につながり、なんだかなにを読んでいるのかわからなくなる話だな… と思いつつもその世間話を追ううちに、何時間も続いた雷雨もようやく落ち着き、雨音が静かになるとともに話は急に展開して収束。
もう二度と返らぬものをそれと分かっていて話さずにはいられない。ならば依頼人はここでこんなふうに話すことで救われたのだろうか。

ところでこの本、真っ白な表紙にはコーヒーのシミのような丸い輪が描かれていて、最初手に取った時は自分が汚したのかと錯覚してとても焦った。
なんでこんな色のこんなものが? という疑問は読んでみて納得。
探偵事務所で世間話を続ける彼らは、話の切れ目切れ目にコーヒーを飲むのだ。それも何杯も。雷雨ですぐには帰れないからといっても、飲みすぎだろう… 近ごろはコーヒー数杯で足がふらつくこともある自分としては、そのあたりが心配になってしまう。
それにしても、この人の本はいつも装丁も洒落ている。本を買う楽しみのいくばくかは、工夫された装丁を見る楽しみでもあるんだな、と思う。

陽は中天を過ぎて 2nd season

第二人生。 ここから歩いていこう、 鮮やかな夕映えのなかを。 大丈夫、自分はまだ生きている。

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