芝神明の千木筥
新年のお初会の後、今年はめずらしく誰ともお茶に行こうという話にならなかったので、少し離れた浅草線の駅まで歩いて帰ることにした。
ふいに、何年か前のお初会の後、芝神明に立ち寄ったことを思い出し、時計を見る。
まだ4時前だ。ならば神社にお参りしても大丈夫だろう。
急な階段の上のさして広くはない社地は、
連休の最中だからか、あるいはまだ松の内だからか、そこそこの人で賑わっていた。
お参りを済ませて社務所を覗くと、並べられたたくさんのお守りの後ろに、千木筥の箱がいくつかあるのが見えた。
ラッキー。
前にこれが目当てで来た時は、売り切れで手に入らなかったのだ。で、しかたなく千木筥を象ったちいさな土鈴を買って帰ったものの、いつか本物が欲しいなと思っていた。
それがいま目の前にある。
もちろん迷わずに買う。
土鈴を買った時の巫女さんは「本当の千木筥はけっこう大きいですよ」と言っていたけど、たしかに大きい。手のひらより少し小さい程度だ。
筥にはなにか豆のようなものが入っているらしい。振るとカラカラと乾いた音がする。
この千木筥は着るものに困らないようにという縁起物。
この数年、なにを着てもなにかどこかが変な気がして落ち着かないので、それが少しでも解消すればいいのだけど。
なにも贅沢などしなくていい、ただ自分がふつうにでいられるなら。
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