お財布の紐は失踪中。

私の財布の紐はまたまたどこかへと消えてしまった。いや、本当に紐がついているのか、はなはだ心許ない。
今日は訪問着の裾の汚れを見てもらうだけのつもりだったのに、せっかく呉服屋さんに来て目の保養もせずに帰るのもなあ、などと思ったのが運の尽きというか、飛んで火に入るなんとやらというか。
またしても好みにぴったりの色柄の反物が出てきて、ちょっと当ててもらったら手放せなくなった。見れば見るほど好みで、ここで諦めたらそれきりだと思うと、心の天秤は簡単に傾いた。
どうしたのかな、このところ忙しすぎてなにかどこかタガがはずれてしまったのかな。こんなふうに自分の財布のレベルを忘れてしまうなんて。
もうこの歳になって、養う家族もいなくて、だから食べたいものがあるなら、読みたいものがあるなら、行きたいところがあるなら、身の丈をこえすぎない限りは食べて飲んで読んで出かければいいと思う。思うのだけど、今日のこれは身の丈の範囲内なのかどうなのか。
多少ぐるぐるしながら分割契約の書類を書いている私に店員さんがつぶやいた。
かって財布の緒を締めよ。
至言だ…

陽は中天を過ぎて 2nd season

第二人生。 ここから歩いていこう、 鮮やかな夕映えのなかを。 大丈夫、自分はまだ生きている。

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