細く長く、でもしっかりと
いまにも止まりそうな足をなんとか動かして
会社の最寄駅へと向かっていた夕方、反対方向から忘年会とおぼしき一団の人たちが近づいてきて、ふらふらしていた自分は道を譲るようにわきへと寄った。
すれ違いざま、名前を呼ばれて驚いた。
以前に同じ会社で働いていた友だちだった。
その時はお互い手を振り合うだけで別れたけれど、顔の半分がマスクで隠れているうえに死んだ魚みたいにうつろな目をしていた自分のことをよく認識してくれたなあ、と感心した。
派遣社員の彼女はあれから何度か職場を変え、いまは近くの会社で働いている。けれど、話を聞く限り、いつも相当夜遅くまで仕事をしているようで、最後に会ったのはもう去年の夏だ。
派遣か正社員かにかかわらず、会社の人とはあくまで職場だけの付き合いで、そこさえ上手くやれてるなら十分だと思ってきたのだけれど、彼女とあともう一人、同じ時期に働いていた派遣の人とは職場が別々になったあとも続いている。
人との距離を測るのが苦手な自分にはありがたいほどの適切さで私を誘いだしてくれるのに、けっして踏み込みすぎることもない。自分にとっては貴重な存在の友人だ。
今夜はきっと遅いのだろう、明日にでも久しぶりにメールをいれてみよう。
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