光さす午後

待ち合わせまでの時間を駅からほど近い広場でつぶすことにして、人のいないベンチを探す。
広場の入り口に停まっていたワゴンで買ったコーヒーの紙コップは熱すぎて、暖を取る以前に手に持っていられない。手袋をしてくればよかった。それならこの熱さもちょうどよかったはずだ。膝のすぐ側にコップを置いて、僕はじんじんする指先をさすりながら、周囲を見渡す。
海辺に新しく作られた人工の街は若い夫婦や幼い子どもたちであふれていて、それだけでも僕を打ちのめすのに、祝祭シーズンのこととて、みんなどことなく浮き浮きとした雰囲気をまとっている。そしてきらめく街の片隅にひとり取り残された僕は白い息を吐く。広場に響く子供たちの歓声と、走り回る子どもたちの名を呼ぶ親たちの声。
待ち合わせた友人はなかなか来ない。
疎外感は深まるばかりだ。誰か僕をここから連れ出して。このありふれた、けれどかけがえのない幸せの構図に参加できない僕をどうか。どこかへ。
コーヒーがいい具合にぬるくなり、ようやく飲めるようになってふと気づくと、雲間から、美術館で見た西洋絵画のような光がさし、広場全体を明るく照らしだしていた。冬の日差しは真昼といえど、どこか不安を宿すようにたよりない。僕はほぼ飲み終わったコップを両手ではさんだまま、膝に肘をつき、目の前の風景をしばらくながめていた。そして頭を垂れた。
この世に光あれ。
いま手を取り合っている人たちは、悲しみませんように、傷つきませんように、幸せでありますように。
そして、運悪くひとりきりでこの街を歩いている人たちは、どうか温かな場所を見つけられますように。
そして贅沢な願いでしょうか、どうか僕には赦しを。あるいはやすらかな眠りを。

陽は中天を過ぎて 2nd season

第二人生。 ここから歩いていこう、 鮮やかな夕映えのなかを。 大丈夫、自分はまだ生きている。

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