結局、三絃が好きらしい。
ここ数年、文化の日には必ずお稽古の発表会があって、去年は自分のレベルからはだいぶ難しい曲に挑戦したせいもあって、平日も帰宅後に練習、週末は合奏と気の休まる暇もなかった。その反動もあって今年の発表会はお休みすることにして、気楽な毎日を過ごさせてもらってきた。
休日の朝にゆっくり二度寝ができるのはいいことだ、とぬくぬくとした布団にもぐりこみ直したのが8時前後。次に目を覚ましたのは12時過ぎ。
開け放した窓辺から空を眺める。
外はうっとりするくらいの秋晴れで空気も暖かくて、こんな時間まで寝とぼけていた自分にばかだなあとつぶやく。走りに行ったらさぞ気持ちよかったろうに。
着替えてサクッと食事をとり、部屋の片隅に立てかけた三絃のケースを取り出す。
今年の発表会は出なかったけれど、お正月の会の準備はしておかないと。
新年にふさわしいおめでたい曲で、手自体はそれほど難しくもない。唄も、ほぼ手と同じ音だから迷うこともない。が、なんというのか、簡単な曲だけにちゃんと弾けないとアラが目立つ。頭の中で鳴っている理想の音と、実際に自分の弾く音、唄う声との差を少しでも縮めたい。
練習の合間に見上げる空はいつしかかげり、腕に変な力が入って手首が言うことをきかなくなってきたところでようやく撥を置いた。
もっとパリッとした潔い音を、もっと伸びやかで深い声を。
午後のほんの数時間。すこしは進むことができただろうか?
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