遠い想い出

「菊と葵のものがたり」高松宮妃喜久子

なかなかはっきりとものをおっしゃる方のようでどの話も率直で面白いのだけれど、興味を惹かれたのは、高松宮様のありし日のあれこれを、秩父宮・高松宮・三笠宮の妃殿下方が語り合う一編。さすがに家柄のよい人たちというのはこういうものなのだろうか、と感心させられるほどおっとりした雰囲気で、現代人というよりは、唐衣を着た平安時代の女御たちのおしゃべりのようだった。

昭和5年から6年にかけて、新婚旅行を兼ねて歴訪した欧米各国の思い出の中に、ルーマニアの幼い皇太子の話があり、妃殿下はその後の皇太子のことを「果たして御健在かどうか、どこでどう暮らしていらっしゃるか」と気遣っていたが、第二次大戦後は共産国家となった国のことでもある、ぶじに命をつなげただろうかと気になって、ネットを調べてみた。
そうしたらなんと、この皇太子ー即位してミハイ一世ーはぶじにどころか今でも存命らしく、しかも共産政権崩壊後のこんにちのルーマニアにおいて特殊な地位を占め、公式にも国王陛下と呼ばれているとか。
第二次大戦を闘い、共産政権の前に退位を余儀なくされて亡命し、その後ルーマニアを統治した独裁者は共産圏の優れた指導者として一時期もてはやされたことがありながら、やがて無惨な死を迎えたというのに、元国王はまた祖国に戻って国民にも好感を持って迎えられている… ひとの人生の転変の激しさには言葉をなくすばかりだ。

陽は中天を過ぎて 2nd season

第二人生。 ここから歩いていこう、 鮮やかな夕映えのなかを。 大丈夫、自分はまだ生きている。

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